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事件事故

2019/ 06/ 21
                 



親が道警勤務なので、事件事故の場合は親父の出動の方がニュース速報よりも早い。
だから道内の事件事故の速報は、恐怖よりも『親父の仕事』のイメージが強かったりする。

でも、豊浜トンネルの崩落のときはちょっと違った。
緊急出動を受けて、スーツに着替える親父の顔が妙に暗いのだ。
着替え途中の親父に、「今回は何?事件かなんか?」と聞くと、普段は「言えん」とか、「あんたに話す必要ない」といって、決して出動内容を話さない父親が、「事故」とだけポツリと言った。
そして母親に、「今回は多分、しばらく帰ってこれないわ。長引く」といって出て行った。

親父が出て行ってしばらくした後、ニュース速報が来て、現場の中継を見た瞬間に、親父のあの表情の理由がわかった。
多分、最も初期の時点で既に生存が絶望的だった、そんな事故だったんだろう。

親父は4日間帰って来なかった。
5日目の夕方、着替えを取りに戻ってきた親父に状況を聞くと、
「直撃してる。バスは真下だ。方法が見つからん。ほとんどの家族が諦めてる」と言った。
そのあと、「スコープからの映像は見たの?中はどんな感じなの」と質問した。
「5センチ」
「何が?」
「スコープで確認できた遺体の身長だ」
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